「制服まにあ」の独り言(7)

<99.09.25>

制服業界における「最高」「本物」の罠

 いきなりですが、今回の因幡は、ちょっとばかり「ぷすぷす」しております(笑) くすぶりの火種は、うさぎハウスあてに届いた一通のメール。内容は、「当店でもバニー衣装を扱っています」といった某制服系サイトからのもので、早い話が、買ってくれるかリンクしてくれという営業メールだったんだけど…(^^;) で、それだけだったら、「ふぅん〜、DMね」って感じなんだけど、聞き捨てならなかったのは、バニー衣装のクオリティについて自信ありげなことを書いていた点。
 その衣装、よくみる某大手メーカーのカタログ品でしょ。あれ、肩ひもついてるじゃん(笑) 綺麗に見えるように最大限の細工をするはずのカタログ写真でさえ、どう見てもシワシワでディティールもいただけないし、スタイル抜群の外人モデルで撮影しているにもかかわらず、なんだか貧弱に見えるんですよね。あと、実際にその衣装を仕事で着たことのある娘の写真も見たし、話を聞いたときも、フィット感についてあまり良いコメントはありませんでした。
 だけど、そのメールはやけに自信たっぷりで、「主にホテル、レストラン、バニー倶楽部などの業者用に作られており縫製、耐久性は最高の物と自負しております」などの、わかったようでわからないような、美辞麗句が並んでいる。そりゃ、確かにレストランとかバニークラブで、あの衣装が使われていることはあります。なぜなら、オフィスウェアとかサービスウェアを扱っている、大手〜中堅ユニフォームカタログで、バニーを掲載しているのが1社だけだから…。バニーが欲しい店は、選択肢がないから仕方なくあの衣装を「買わされて」いるともいえますね☆(←ちょっと暴言入ってますケド(笑))。
 で、私が気になったのは、メーカーカタログに載っているものをモノサシにして、それがすべてかのような表現をしたり、あるいは載っている商品しかないと思い込んで(ということにして割り切って)商売している、販売店の姿勢です。もちろん、商売だから、儲からなければやっていられない、あるいは上を見ていたら(オーバースペックで)キリがないというのはわかります。が、(これは、決して今回のメールの店に限ったことではなく、昔からずっと気になっていたことですけど)いわゆるユニフォームショップって、メーカーカタログの情報を鵜呑みにし、カタログ中心の商売に偏重しすぎている気がするんです。もしかして、他にもバニー衣装を扱っているところ、ないのかな?と探したりする努力の跡が見えないんですよ。
 バニーのように珍しい衣装は、ほとんどの大手ユニフォームメーカーがカタログに載せていないし取り扱ってもないのですが、自分のところと取り引きしているメーカーから貰ったカタログに掲載されていないから「ない」、あるいは、カタログに載っている数少ないバニー衣装こそが業界標準のような言い方で説明する、そんな回答や表現方法は、もうちょっと何とかして欲しいなぁとか思っちゃいます。
 10年以上前からバニー探しの旅を続けていて、色々な制服業者に電話をしたり足を運んだりしました。でも、大抵の店が、自分のところで取り扱っているユニフォームカタログに載っているかどうかだけ調べ、載っていなければ「ない」といった回答でした。親切に、調べてみますとおっしゃってくださる店もありましたが、(恐らくはカタログを出しているメーカーに)電話確認する程度しかツテをもっていないので、向こうがないと答えれば「やっぱりありません」とオウム返しで答えるぱかり。店員の知識や経験などのノウハウで答えているのではなく、あくまでもメーカーまかせにしか見えませんでした。だったら、そのカタログさえあれば誰が問い合わせたって結果は同じで、店や店員って必要ないじゃない。よく電話帳広告や店頭看板に書いてある「どんな制服でも揃います」とか「なんでもお気軽にご相談ください」などの言葉は、いったい…と、過去にもこの手のことでは、腑に落ちなさを感じたものです。
 あれから、だいぶたち、いまでは業界のからくりも少しは見えてきました。なにしろ、大抵の制服ショップはメーカーカタログという同じ元ネタで商売しているわけで、名の知れた大手〜中堅カタログメーカーの数は限られてくる。早い話が扱える商品はほぼ同一なんですよ☆ だから、そのぶん、宣伝競争みたくなっているところがあるんですね。ともかく、スゴそうな煽りでお客を捕まえたもの勝ち、みたいな…(^^;)
 なんだか、こういう応対の仕方って、アットホームの情報をメインソースに賃貸やっている不動産業界の構造と似てません?(笑) 賃貸マンション情報の業者広告とかって、なんだかダメダメな気配、ありますよね。オトリとしか思えない物件をちらつかせてでも問い合わせ電話をつり出し、電話がかかってきたら色々いってなんとか強引に来店させ、書いてあったその物件を見せて欲しいといっても、あれこれ言い分けしつつ、結局は自社に都合のよい話でまとめようとする。結局、どの店を回っても、しょせん情報ソースが同一だから似たような物件データを何度も見せられるだけで、そのループから抜けなくてラチがあかないんですよね☆ 探している側としては、情報提供会社(元締め業者)からの垂れ流しネタが欲しいのではなく、そのお店ならではの物件なり情報に期待して足を運んでいるのに、そういうものにはなかなか辿り着けないんです。その嘆きを伝えると「この業界、どこだってそんなものですよ」とか「そうでもしないと、客がこないから商売にならない」とか、むしろため息まじりに嘆かれてしまうわけです。
 でもね、それって結局、品揃えや知識はよそと同じどんぐりの背比べだから、そっち方面では競争できない分、宣伝に力を入れて営業力でカバーしてますってことでしょ。そんな無茶な営業しなくたって、不動産なら優れた物件情報を厳選して用意していればいいわけだし、制服だったら、まぁオリジナル企画制作が理想だけど、それが無理でも、せめてカタログに書いてある情報以上の商品知識で対応とか、カタログ業者以外の品でも良いものがあれば扱うつもりで他業者やショップとの取引も密にするとか、そういった努力の仕方もあるわけです。だけど、結局はそういう地味な方向よりは派手な営業のほうに比重がいってしまい、宣伝文句だけが一人歩きする。目的を持って、あるいはこだわりを持って探している客側からみれば、羊頭狗肉のようなすっきりしない対応の業者ばかりという状態になっています。
 でもね、実際のところ、下手に品質やサービスに力を注ぐより、そのお金とエネルギーを営業力に回したほうが売上げはいいのでしょう。なんか、それもわかるような気はします。商売やっている人は、長年の経験から、客商売は営業力、そうゆう悟りを得てしまったんでしょうね。だとしたら、客の側にも非があるんです。「マニアな客は相手にしたくない」(色々と注文がうるさく手間がかかるわりには1着しか買わない)、「商品知識のない客こそがカモ」(自信たっぷりに強気でオススメ売りをすれば、言うなりに決めてもらえる)とか、「宣伝文句は派手なもの勝ち」(実際にはたいしたことではなくても、凄そうな数字や言葉を並べたてたほうが信用してもらえる)いった妙な経験則を売り手の側に与えてしまった我々消費者(あ、今は生活者って言うんだっけ(笑))にも、問題があるといえますね☆
 でも、今や時代は情報化社会で、インターネットも花盛り。「同じような商品を扱っているなら、派手な宣伝かましたもの勝ち」みたいな従来型の商売は、もうそろそろ通用しなくなってきています。「うちの品は本物です」「うちの品揃えは豊富です」などと書くのは自由だけど、有名メーカー製の肩ひもつきバニー定価75000円が20%OFFと、肩ひもなしで自立して動いても落ちてこない60000円値引きなし、どちらのバニー衣装をより「欲しい」と感じるか、それは買う側が賢く判断していくと信じています☆

 追伸。きっと見ていないと思いますが、メールをくださった業者さんへ。

 うさぎハウスを知るチャンスがあったのは、貴店にとって幸運だったと思います。せっかくですから、これを機会に、女性向け情報のメーカー比較などもみて、業界動向を勉強してみてくださいね☆ どんな業者がどんなタイプのバニー衣装を出しているか、わざわざリサーチするのは大変なネタが無料でころがってますよ!(ま、もっとも、宣伝っぽいメールを送ってきた方が、ウェブページまでしっかり読んでくれていることは、かなり希なんですけど…(^^;))


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