「制服まにあ」の独り言

 因幡は制服が好きです。

 しかし、こういう言葉は、とても曖昧だと思います。もともとそれは薄々承知していたことなんだけど、最近、ひしひしと感じます。「制服好き」という言葉は、なにかの集合を指しているように見えて、ぢつは、特定のジャンルは何も示していないからです。
 「制服系サークル」とか「制服おたく」とか「制服愛好」とか「制服好き」とか「制服マニア」とか「制服同好会」とか「制服系コスプレ」とか、色々言葉を使ってみても、「制服」という言葉自身のもつ意味や取り方が曖昧すぎて、結局、核心みたいなところにいかないんですよ☆ もちろん、これを読んでいる方の中には、「あ、コミケとか同人筋で言われているところの、アンミラとかブロパ的なツボかしら?」みたいなものがなんとなくイメージできる方もいると思います。しかし、それでもやっぱり、ほんとは何も焦点は絞れていないんですよね…。

 音楽が好きと一言でいっても、聞くのが好きなのか演奏するのが好きなのか、作曲するのが好きなのか、音をいぢるのが好きなのか。聞くのが好きだとして、レコードやCDで聞くのとコンサート会場で聞くのとどちらが好きかとか、どういうジャンルの曲が好きかとか、どういう楽器が好きかとか、もう千差万別なんですよね☆ それと同じように、制服好きといっても、たまたまコミケで制服同人をやっている人が少ないから「一心同体」になれているかの錯覚をするだけで、本当は皆さん、かなりずれがあると思います。また、ずれがあって正解なんです。人間には個性があるし、考え方の差もある。ただ危険なのは、そこに「共同幻想」を持っていることだと思います。個人の価値観の差があって当然のはずのものに、みんな同じ土俵であるかのような横ならびの幻想が入り込んでくるのが、同人業界の(ある意味)恐いところです。

 現在、同人業界において主流の「制服愛好」の表現方法は、イラストで制服を描き起こすというやりかただと思います。流行りのキャラに、あるいは自分のオリジナルキャラに、気に入った制服を着せてイラストにする。それを何枚か集めて、たとえばアンミラの衣装を着用しているものが多ければ、それを「アンミラ本」として発行する。そんな形がつい最近までの基本型だった気がします。
 もともとが「コミック」マーケットですから、マンガ的な表現を主にする傾向があるのは事実です。絵がうまければ評価される、絵が描ければそれが一番表現力となる。しかし、制服が好きな人=絵が描ける人ばかりではありません。では、絵が描けない(あまり得意でない)人のコミケにおける制服愛好の表現手段は、何が残っているでしょうか? コミケにおいて、絵のかけない制服好きが「参加できる道」は、他サークルの出した本を買うしかないのでしょうか?
 いいえ、そんなことはありません。最近ブームになっているのが「研究系」とでもいいましょうか。お店情報、つまり、おすすめメニューや、地図(住所)、営業時間などの、制服以外の店の情報を充実させたりする紹介本の形式です。こちらはデータが充実していたり、レア情報があったり、ツボを押さえた対談やコメントとかが入っていれば、絵柄だけで売れるほどの画力でなくても、十分に本として内容が評価される状況にあるようです。
 また、コスプレによって表現するという手法も(これは昔からあるのですが)出てきました。コスプレって、絵よりは裁縫のほうが得意という人が、自分にできる形でキャラ愛好の精神を発露するために始めたものかと推測します(と、思いたいです。目立ちたいからやっただけとかそういうことだと、なんか話が厄介そうで…(^^;))。

 ともかく、とりあえずコミケという場での「制服愛好」の表現手法についてざっと思い付くままに書いてみただけで、これだけ多くの方法があるのです。
 好きだからイラストにするのも愛好だし、好きだから脱がせてしまうのも(ある意味)愛好だし、好きだから脱がせたくないのも(もちろん)愛好だし、好きだから着てみたい(着せてみたい含む)のも愛好です。愛好の種類は他にもあって、好きだから店に潜入する、好きだから店から制服を持ち出してしまう(本当は良くないんだけど)、好きだから隠しどりする(もっと良くないんだけど)、好きだから…もう、キリがありませんね☆(笑)
 みんな、「制服好き」という意味では広義に同じなんでしょうけど、それらのすべてが、全て「共通の土俵」に乗っているとは、私にはとても思えません(笑) 好きだから隠し撮りしたい人と、好きだから店に入った娘が、共通認識を持ったお友達になれるとは、とても思えないし…(^^;) 私は女性ですから、隠し撮りをされるなんて、当然、嫌だし。でも、それぞれがみんな、絶対に譲れないこだわりがあるから、そのあたりお互い引かないと思うんですよ。撮る側からすれば「嫌ならそんな格好するな!」かも知れない(そんな論理、客観視したって通るとは思えないけどね☆)
 たとえば、好きがこうじて、店に潜入して制服を持ち出してコスプレしている娘から見れば、本物に似ても似つかないコスプレ衣装をまとっている娘をみれば「あれは偽物だ!」とつい言いたくなるでしょう。しかし、逆の立場から見れば、「盗んだ本物を着て平然としているほうがおかしい」って反撃があるかも知れません。好きだからこそ汚したくないと思っているファンから見れば、憧れの制服の娘のあられもない姿のイラストを描く人は「許せない存在」かも知れませんが、現実には犯すことのできないウェイトレスを紙の上、妄想の上という世界で自由にしている個人の夢までは壊せないという見方も、なくもありません…よね?(笑)
 そう考えると、「制服好き」同士が友達になるのは、ある意味、同じ趣味を持たない(関係ないもの)同志が友達になるよりずっと難しいとも言えますね☆ 私自身、自分の制服愛好が(いわゆる同人的な見地から見て)多少ズレていることはずっと昔から知っているし、せっかくの自分の制服に対する思いが、近い業界の人にさえうまく通じずに(いちおう理解はするけど感覚的に共感はできないといった感じになってしまう)焦ることもあります。おそらく、因幡の場合、主にウェイトレス系の愛好でありながら、店舗にいってお茶を飲んでウェイトレスさんを遠目に眺めるといった「お客様的」見地では納得せず、気に入った店には潜入しようとしたり、制服自体の仔細な構造や材質を調べようとしたり、いわばより突っ込んだデータ収集に走るくせがあるからかもしれません☆(苦笑)

 色々ゴカイもあるでしょう。立場の差もあるでしょう。共同幻想なんて、あるようでいて、きっとないんでしょう。それでも、私は、「制服が好き」と、あえて口にします。文字にします。
 そう書けば、「ファミレスが好きで淡い憧れを持っている男性」「学校制服が好きで性欲の対象にしている男性」「制服女装が好きな男性」「看護婦にいぢめにれたい人」「かわいい服を着てみたいだけの女性」「制服を着た女性のことを好きな女性」…色々なタイプの人が集まって来てしまうでしょう。それでいいと思います。来る人全員と、平等にお友達になれる保証はありません。でも、少なくても、あれは駄目、これはNGと、会う前から自分の世界を狭くしたり、他人の趣味嗜好を否定しなくてもいいかなぁって気がしてます。
 ちなみに、因幡自身は、「カワイイ制服を着ている女性を見るのが好き」「カワイイ制服を着ている女性がかかれたイラストなどを見るのが好き」「自分自身がカワイイ制服を着るのが好き」「制服のカワイイ店の調査研究をするのが好き」「制服自体の構造やデータを調べるのが好き」、このあたりが基本線です。そういう意味からいくと、フロムAの「アルバイト制服図鑑」に類似した企画の担当とかやらせてもらえたら、けっこう自分的にはツボかも知れませんね☆

 ということで、このコーナーを新設したばかりの今回は、ちょっと散漫な内容になってしまいましたが、これからもここでは、よろず制服語りをしていきたいと思っています。「バニー同人サークル」という看板を掲げてしまったことで、制服好きでありながらバニー本線と絞り込んで走ってきた因幡が、他の制服についても広く語れる場所として、ご期待ください!


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