「制服まにあ」の独り言(4)

<99.05.19>

 制服マニアって、昆虫マニアに似ている!?

 先日、妙な悟りをひらきました(笑) タイトル通りで「あ、私って、昆虫マニア」だったんだぁ〜と☆

 「制服好き」という言葉があまりにも曖昧すぎて、自分でも制服ファンってなんなんだろうとか、自分の制服好きは何なんだろうとか訳分からなくなりかけてしまうときがあったんですよ。で、制服販売業に手出しをするって考え方は、「儲け主義」であって「ファン心理」とは違うんぢゃないかとか自問自答してしまったり…。
 でもね、昆虫マニアなんですよ。「ちょうちょが好き」みたいな話に置き換えてみれば、あらすっきり! 「私はちょうちょが好きです」という人がたくさんいたとして、Aさんは公園や野山に飛んでいる蝶の姿を見ているのが好き、Bさんは蝶を捕まえて標本にするのが好き、Cさんは昆虫商から珍しい蝶を買い取ってコレクションするのが好き、Dさんは…という具合に、好きのやり方がそれぞれ違うわけですね。
 では、因幡は、どのタイプの蝶マニアなのかというと、最近は「野山で見かけた蝶がなんという名前か、図鑑で確認するのが好き」派だったのです!(笑)

 ぢつは、制服にはメーカーカタログというのが存在します。全ての制服がメーカーカタログに載っているわけではないのですが、町で見かけた制服が数多いメーカーから出ている様々なカタログのどのページに掲載されているものかマッチングさせる作業に、一時期ドツボるぐらいハマったことがありました。ひとくちに制服といっても、似ているようで細部が異なりますから、おそらくアレだろうと思ったのに、左右が反対とかそういうちょっとした理由で正しくないケース、似ているものがいっぱいありすぎて特定できない焦りなど、いろいろ体験しましたが、それがまた、探求心をそそるものだったのです(笑)
 そのときは、なぜこんなにハマっているのかよく分からず、一般の他人が分かる理由づけをするために、親や知人には「制服販売業者になりたいための勉強だ」と語っていました。また、業務用カタログを業者から入手するためにはそれなりの正当な理由が必要だったので(趣味だから下さいっていうわけにはいかないので)、小売店を開くために必要ということで、それなりに筋を通して資料を譲っていただいたこともあって、建前は「制服ショップ営業のため」となっていました。
 そうこうしているうちに、自分でも「商売」でやっているのか「趣味」でやっているのか曖昧になりそうになってしまったのですが、同人が趣味であるならショップは商売ですから、それは切り分けや割り切りが必要だし、ない交ぜにしては、かえって具合が悪い。そんなこんなで、「商売、商売…」ということにしているうちに、自分でも、商売のような気がしてきてしまった(笑)

 でも、なんかしっくり来ないんですよねぇ〜☆ いや、もちろん、制服販売も(うさぎハウスとは別に)やっているし、それはそれで大変だけどやり甲斐があって楽しいし、いろいろな出会いとかあっててけっこう面白いんだけど、なんで、町の制服を観察してカタログと突き合わせているときあんなに楽しかったのか、あの部分がどうしても「商売」というだけでは説明しきれない何かがあるんです。
 あ、カタログの話、下手に書くとまたゴカイされそうだなぁ。例の制服本のイラストは、カタログから起こしたなどの横着をしたわけではないですよ(念のため)。まず、現地調査でイラスト書いて、その後、カタログとマッチングして、「やっぱり正しかった」と納得することは多々あったけど…。また、カタログ「も」参考にすることが全くなかったとは言わないけど、極力、現地調査優先です。だいたい、カタログ商品とあっているかチェックできるぐらい観察するっていうのは、普通より仔細に、縫い目の位置とかタックの数とかまで微細に観察しないと無理なんですよ。だから、現地調査に相当の気合を入れないとキツい。それほど違うメーカー同士で似ている商品が多いってことでもあるけどね☆(苦笑)

 で、何の話だったかというと、制服を観察して楽しいというのは、まさに「昆虫マニア」なんですよ。図鑑で見た珍しい蝶を探しに地方に出かけるとか、出先の公園で見掛けた珍しい蝶がなんという種類のなんという名前か家に帰って図鑑で調べるとか、そういう楽しみ方、しますよね? …まさに、それ(笑)
 今はなんとか沈静化しましたが、一時期は、家に帰ると寝るまでずっと何十冊もの制服カタログを片っ端から読み倒してデザインをできるだけ暗記し、一方では外に出かけると食事やショッピングもそこそこに、喫茶店や飲食店の衣装デザインチェックに走りまくる。そこに「合致」をみつけると、そりゃもう大騒ぎで、周囲が(うさぎハウスのスタッフでさえも)付いていけない始末に悪い状態に入っていました(^^;)
 私に言わせれば、こんな面白い遊びをみつけたのに、みんなも「制服好き」っていってたはずなのに、どうして周囲は引いているんだろうと思っていたのですが(ぉぃ)、後で分かったことですが、周りは、私がビジネスのために一生懸命に調査しているものと思い込み、なんとなくついていけなかったようです(笑) …いや、たしかにそういうこと口にしていたし、実際に、自分でもそうだと言い聞かせていた部分は多大にあったんですけどね☆

 で、しばらく、また、浮遊感に襲われるわけですよ。なんとなくしっくり来ない感覚。おそらく自分が楽しいと思うことを周囲が共有しないということに対する、漠然とした孤独感なんだと思うのですが、そういうときは、「みんな、制服好きとか騒いでいるのに、ちっとも本気でない!」とか、悲しくなってしまったものです。
 たとえば、「制服観察ツアーに行こう!」って感じで、自称制服マニアの皆さん数人と出かけても、ウェイトレスの娘が可愛いだの巨乳だの、そんなところばかり見ていて、「今の店の制服、袖口どうなってたっけ?」とか、「リボンの太さ、どのぐらいだったっけ」とか聞いても、そういう衣装の細部はろくすっぽ見てない(笑) これって、アンミラ同人誌とか見ていても思うのですが、どうして、スカートがフレアーになっちゃうんだろうとか、どうして、エプロンがギャザーになっちゃうんだろうとか、不思議なんですよねー。現物に忠実に描かなければいけないとか、アレンジしてはいけないという意味ではないけど、そういうものだと思い込んで不正確に描いてしまっている方も多いように見えるのです。制服好きといっても、制服を着たお姉さんのかもしだす「全体的な雰囲気」みたいなものを漠然と見ているだけであって、本当に制服のデザインとか構造とかに注意を払って見ているのかなぁ〜みたいな☆
 これ、今に始まったことではなくて、バニー本作っていたときもそうなんです。バニー店の取材を他の人に頼んで、後から「襟の形、どうなってた?」とか「タイの色はボディと同色だった?」とか聞いても、「そこまでは見てなかった」とか、心もとない返事ばかりで…。自分が行かないと、とても話にならないケースが多くて、「何で、ちゃんと見てこないんだろう」って、不思議に思うこともありました。
 そして、そういう話を別の人にすると、「それは、残念だけど、貴方が思い入れがあるほど、貴方の周囲の人はそんなに思い入れがないってことぢゃないかなぁ…」とか、イタイところ図星を指されてしまって、同じことをやっているように見えているのに微妙に同床異夢であることを、嫌でも認めざるを得ないという感じで、そのせつなさにハマっていくみたいな…。
 でも、それはですね。別に他の人が「いい加減」とか「本気でない」とかそういうことではなくて、他の「制服好き」な人が見ているものは方向が違うってだけなんですよね(以前にも書いた話だけど)。たまたま私の周囲(スタッフとか制作に協力してくれた友人とか)は「方向性が同じだけど濃度が違う」状態だったのかも知れないけど、では、濃度が濃い人なら友達になれるのかとなると、それもまた違うわけです。濃度は同じでも方向性が違うからですね☆(笑)
 たとえば、個人的に制服観察の描画力でかなり優れていると評価している飯坂裕一さんなんかは、他の制服CGを書いている人にくらべて、ポケットの位置とかタックの数とかそういう細かいところに対する適切な観察力も備えているし、しかもかなり正確に再現してイラストに起こしています。でも、彼は、「衣装」マニアではなく、どちらかというと「店」マニアなんですよね。三位一体思想とでもいいますか「制服は、店、服、メニューがそろって、初めて制服たりえる」論者らしい。これも、ある意味、正論でして、当然ながら、私は彼の世界を壊すことはできないわけです。
 でも、それでも言ってしまえば、私は「衣装派」なんですよね。制服って「服」が制服でしょ、みたいな、まぁ、身も蓋もない言い方ですけど。本物とは何かと聞かれるとまた違うかも知れないけど、制服は、服がメインだと思ってます。だから、彼ともたまに(というよりはしょっちゅう)話が合わない(笑)(ケンカしているとかそういうわけではないのよ、念のため☆)

 そういう「食い違い」というか「結局、ツボな同士が見つからない」みたいな状態がどうして起きてしまうのか、なんとなく自分の確かな居場所がないような感覚になってしまうのはなぜなのかしらとか、なんかわからなくなっていたのですが、それも「昆虫マニア」理論で説明がつくことが判明したのです!
 すなわち、飯坂さんタイプは「昆虫は、自然の中で飛んでいるのを見るがよろし」派で、因幡は「昆虫は研究分析し、データを掌握することに価値があり」派なのです。必要がないからやりませんが、もし私が昆虫マニアだったら、あるいは解剖だってしかねないかも知れません(笑) 事実、制服の内部構造とか、とても興味があります。で、因幡が制服業者をやりたいっていうのは、これは「昆虫販売業」になりたいというのと、ほぼ同じ感じかなと☆ そうすれば、昆虫にいつでも囲まれていられるし、いろいろな種類の昆虫を目にできる。うんうん。

 なぁるほど、制服マニアは、昆虫マニアだったのかーってなことで、おおかた、すっきり☆

 ただ、ここで問題なのは、昆虫は「着れない」けど、制服は「着れる」ってことなんですねぇ。着るという行為がからむと、昆虫やら切手のコレクションとは別の問題が生じてくる。つまり、「着る側に回ることが可能な種族か不可能か種族か」という、ふるい分けが生じてしまうのです。
 ほら、人間は誰も昆虫にはなれないから、人類みな平等に「昆虫コレクター」になれる。でも、制服(女性服)マニアは、「見ることしかできない側」と「着ることも可能な側」に分離され、さらに着ることが可能の女性でも「店に雇ってもらえる者」と「店には雇ってもらえない者」が…(^^;)

 2Dコスプレは、いわば「全員が偽物」だから、まだ始末にいいんだけど、制服は、なまじっか本物が存在しちゃうからね。これって、制服マニアが永久に同じ土俵に乗ることが難しい根元のような気がする…(笑)


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