コスプレについて思うこと☆

<98.02.05新規書き下ろし>

 今、コスプレという言葉はブームになっていて、コミケでも性風俗でも深夜番組でもアダルトビデオでも、何か変わった格好をすれば全部「コスプレ」とひとくくりです(笑) 衣装も、ゲームやアニメのなどの2D系だけでなく、いわゆる制服系といわれるもの(アンミラとかメイドとか)が増えるようになってから、ジャンルがボーダーレスになってきました。
 私自身、バニーガールというコミケ的には少々異端色のあるキャラで通してきた人間ですので、この件について「最近のコスプレは…」などと(いかにもコミケの代表意見かのように)偉そうに言える立場でもないし、むしろ、最近では不用意に「私はコスプレイヤーです」などと名乗らないように気を遣っているぐらいです(^^;) とはいえ、コスプレを「コミケ」と「それ以外(風俗関係)」の2ジャンルに強引に分けて、バニーガール(や制服系)は風俗側と決め付けられてしまうのは、ちょっと悲しいですね☆ アニメが好きな皆さんと同様、好きで衣装を着ているバニーというのも存在するのです。
 また、ポリシーのない安易なコスプレ、あまりにも男性の都合に偏った性的なコスプレについては、私としても「少々違うかなぁ…」と思うときもあります。でも、そこも程度問題というか、あまりにも突き詰めすぎると、女性が可愛い衣装のコスプレをする以上、全く異性の目を切り離したところに「魅せる」というものが存在しうるのか…みたいな心理学的な話になっちゃいますからね(笑) そこに明確なボーダーを作ることはナンセンスだし、個人の資質や(見せたい、見られてもいい)欲求の程度問題も絡んでくるし…。
 個人的には、コスプレに対する認識がボーダーレスになっている今は、むしろチャンスだと思っているんです。よく、「キャラも分からないのに写真撮らないでください!」って女の子いるし、気持ちはよくわかります。バニーしている理由とかに全く無関心に、珍しいからとか露出度が高いからというだけで写真取られたら、因幡だってちょっと残念ですもの…。でも、興味を持つ人が増えたということは、それを機会に貴方のことを撮影者に知ってもらえるチャンスとも考えられますよね? 今までは貴方の好きなゲームのことを全く知らなかった人が、貴方のコスプレをきっかけで興味を持ってくれるかも知れない。だから、私はこのコスプレで何かを人に伝えて(表現して)みせるぞ!と、意気込みを持って前向きにやってみたらどうでしょう? 「分かってもらえない人には撮らせない」ではなく「知らなかった人にも分かってもらう」という気持ち。因幡の場合、そういう目的から、あえてメディア露出なども積極的に行なっています!
 とはいっても、コミケのコスプレ広場みたく広くて人も多すぎる場所では、カメラマンさんとコミュニケーションできるチャンスも少なく、意思疎通も悪くなってしまうので(コスプレは勝手に撮って勝手にあちこちに投稿してよいと思っているカメラさんが混ざっていても、大勢に囲まれてしまったら把握も制限も出来ないのが現状です)、コスプレ広場については、正直なところ私はあまり積極的にはなれません。バニー愛好精神を広めるための「表現」の1手段としてバニっていますので、もしコミケであればスペースで同人誌とセットで表現している状態が、私にとっては理想です☆


<ここから先は、以前からこのコーナーに書いてあった内容です>

 先日、某所からコスプレに対するアンケートが来て、その返事のメールを書きました。色々自分なりにコスプレについて思い返すところもあったし、せっかく作った文章ですので、返答したアンケートの文章の一部を、ここに公開します☆

●コスプレネーム 因幡うさぎ

●性別 女性

●職業 フリーアルバイター

●コスプレ以外の趣味
パソコン・料理・パチンコ・ピアノ(音楽作り)・文章を書く

●今までしたキャラ

<制服系>
バニーガール
アンミラ・チャイナ・セーラー服・学生服・バドギャル

<キャラ系>
ラム(うる星やつら)
多田小雪(思い当たるさんの同人誌のキャラ)

●これからしたいキャラ

各種制服系のコスプレ(巫女さんとかやってみたいです)
ミルキーバー「すもも」ちゃん(パチンコのキャラクタ(ぉぃ))

●HPがあればアドレス http://www.usagihouse.com/
●なぜコスプレを始めたのですか

・高校のときに学校でやったラムを、コスプレとみなす場合
美術の授業の自由課題で「CGやコスプレなども作品とみなすか」と言ったところ、やれば認めると言われたので、やってしまった(笑)

・コミケで初デビューをもってコスプレとみなす場合
バニー衣装を入手したが、服を人に着て見せる場所がなかったので、知人に披露する手段としてコスプレした。衣装を着たかった理由は欲しかったからというだけで、うまく説明できない。

●なぜあなたはコスプレをしているのですか。

 はっきり言って、バニーガールに関しては「目的のための手段」です。始めの理由は知人に見せたかったからですが、後の時期になると、自分と同じような仲間と知り合うためのカンバンとして機能し、そして最近では「うさぎハウスの活動を広めるための広告塔」と割り切っています。もちろん、私にも自己顕示欲はありますが、それは「視線が嬉しい」「フラッシュが気持ち良い」といったものとはかなり異なります。自分がバニーが好きであること、同じような仲間がいることを、できるだけもっと多くの人に伝えたい。伝えることが顕示欲であり、その方法はなんでもよいのです。
同人誌・ホームページなどの文字系のメディアなしに、バニー姿だけしていたら、見る人に「あの人はバニーがこよなく好きで色々研究していて、何十着も持っていて、こだわり派の人だ」なんて正しく伝わることはありえないし、コスプレ姿で表現が伝わるとはアテにしていないから(身もふたもないけど☆)。
 他のコスプレについては、着てみたかったから着た、という「お洋服」感覚です。

●あなたにとってコスプレとは何ですか。

 生活です(笑)。コスプレ以外でも、私にとって「趣味だから妥協していいや」ということはないので、必然的に趣味はみな生活と絡み合ってきます。コスプレがというよりは同人活動すべてがですが、生きがいであり生活の一部です。また、やるからには徹底しないと気がすまないので、ほとんど命張っているような世界に入ってきますね☆(苦笑)

●コスプレに関する思い出(エピソード)を聞かせて下さい。

 なぜか私には嫌な思い出がほとんどありません。変な人につけられたとか、妙な意地悪をされたとか、その手のことがなく(いや、あるにはあるけど、仕方ないと割り切れる程度)、どちらかというとあるのは良かったイメージばかりです。やっているキャラが特殊だったこともあって、何度もマスコミの取材を受けましたし、そのおかげで普通では垣間見ることのできない世界と接することもありました。メディアに出たことで普通に知り合えないような遠方の方と友達になるチャンスもあったし、「コミケやダンパには行かないけど潜在的にコスプレイヤー」である人ともたくさん知り合いました。私にとっては、それらが大変に財産です。抽象的なエピソードですみません。1つ1つを知るなら、うちの同人誌見たほうが早いかも…。

●コスプレについて何でもいいので書いて下さい。

<変身願望について>
 キャラ系のコスプレはほとんどしないのですが、高校のときにラムをやった経験からすると、確かに「うる星やつら」が大好きで、物凄くハマっていました。日常の会話の語尾にも思わず「だっちゃ」がつくほど自分とラムを同化しているところがあり、キャラに入れ込んでいたという状態でしたね。自分もラムちゃんになってみたいという思いからやったわけですから、これは本当にいわゆるコスプレであり変身願望です。この格好をしたからこのキャラになれるとは思っていませんが、近づける(世界により近くなる)という満足感ですね。たまたま、露出度の高いキャラをやりましたが、これは肌の露出に抵抗が少なかったというだけで、特に他意はありませんでした。変身願望は日常生活に満足していない者の逃避行動と言われる場合があり、またコスプレイヤーはそれをやっきになって否定するものですが(笑)、実際のところ逃避という側面は少なからずあります。私も、その頃は家庭に不満を持っていたり、学校は好きだけどなんとなくがっちり溶け込んでないような浮遊感覚とかを持っていました。日常がつまらないからコスプレではなく、日常にない面白さをキャラに求め、キャラへの同化によって安定するというのはあると思います。

<可愛い服を着てみたい>
 アニメキャラに惚れ込む系のコスプレに対して、アンミラ・ピンクハウス・バニーガール・メイドさんなどの「制服系」があります。これらは、女の子が本来固有に持っている「キレイな装いをしたい」願望の延長にあるもので、キャラへの同化とは同じに扱えない部分もあるようです。私の場合、バニーの「職業」と「衣装」は完全に分離されて、単純にあの格好をしてみたいと感じたのが動機ですし、他の制服系の娘も、メイドの「格好」が可愛いのであってメイドのような扱いを受けるのは嫌といった感じです。どうやら、この手のコスプレの原則は「元イメージを無視」という特徴があるようですね。アンミラについては「アンミラで働いてみたい」と同化する可能性は高いですが…。ピンクハウスとバニーを同列に扱うことには異論もあるでしょうが、この手のコスプレ(?)に共通しているのは「女の子が着てみたいと思っているけど、普段着ることが難しい」という特性を持っています。コミケにはあまりいませんが「ウェディングドレス」なども女性の憧れの衣装であり、ホテルなどの試着モデルには毎回希望が殺到するようです。

<装う>
 コスプレであれ普段の衣装であれ、「装う」は、他人の視線と切離せません。そして、女性が装うにあたって無視できないのは男性の視線です。男性のためにサービスでコスプレをしているのではないと女性コスプレイヤー達はことさらに語気を荒げ、写真撮影をする人を「カメラ小僧」などと言って軽蔑します。確かに撮影者に妙な人が混ざっているのはまぎれもない事実です。しかし、「貴女がたは本当に男性の視線を、カメラのフラッシュを必要としていないのですか」と冷静に問いたいことがあります。男性ウケをねらってセクシーさで迫るとか執拗に媚びるというのももちろん違いますが、女性コスプレイヤーは「華」たる存在だし、華はセクシャルさと切離せません。「男性は嫌だ」とさえ言っていれば(華が必然的に色気を振りまいている現実から)免罪されると思っているのでしょうか。そもそも、装いの本能は、異性へのディスプレイです。花が受粉させてもらえるように虫に対し気を引くように、孔雀がメスの気をひくために羽を広げるように、見せるとセクシャルは、本能的な部分で切離せないはずです。なぜなら無人島に一人で行くときにコスプレ衣装を持っていくでしょうか? 女性しか集まらないコスプレお茶会を企画すると、ノリがよほど特殊ない限り、大抵破綻します。今までの私の経験からしますと、コスプレを「自分で着たいだけ(誰にも見せることを前提としていない)」あるいは「同性にだけ見せることしか考えていない」ケースは本当にごく稀です。

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