バニー服ほしさに水商売すること

 とある掲示板で、「バニー衣装欲しさに安直に水商売に入りすぐに辞めるとは、けしからん」といった主旨の書き込みを見ました。書き込みをされたみずほさんの気持ちや立場、憤りなどを完全に理解することは出来ないかも知れませんが、因幡なりに、思うことを書いてみます。
 因幡は、水商売の店に限らず、どんな制服であっても「その店のユニフォームを無断で持ち出して良い」とか「制服欲しさに、安直に(すぐ辞める気で)働いて良い」とか推奨したことは一度もないつもりです。軽々しい気持ちで無責任に水商売をやるぐらいなら、それは水商売の店に対しても他の従業員に対してもかえって失礼で、しかも本人も場になじめず傷つく。つまり、水商売のことを知らないのに、安直に衣装欲しさで水商売というのは、関係する誰にとってもメリットがなく、害ばかり多い行為ということですね。だからこそ「その気のない(あるいは水商売に向いていない)素人」は、バニー衣装したさに水商売という安直な道は考えないほうがいいというのが、私のいいたかったメインの部分です。
 水商売をしたことがない人にも、すんなり説明しやすいために、「これが失敗例」みたいな書き方で、(多少コミカルに)とっつきやすく書いてしまったのですが、こちらの表現が悪く不快感を与えたのだとしたら、お詫び申し上げます。
 似たようなケースで、因幡がよく使う言葉として「水商売のバニーは(因幡の求めているものと)違う」というのがあります。でも、そういう書き方をすると、文章を見た本職の方が嫌な思いをされているのではないかと、本当は(少し)気になっています。しかし、水商売がいけないとか水商売している人を否定している意味で書いているのではなく、本当に私が感じている憤りは、実は、水商売の人が他人から判断されるときに感じるものと(たぶん)と同じ性質のものなんです。
 体力やテクニックを使ってハードな仕事をしているにもかかわらず「ソープで働いているから売春婦と同じ」と言われるとか、客と寝て安直に指名をとったり店内の風紀を乱したりする同僚ホステスがいると、お水の女は尻軽だと思われて嫌な気持ちになるとか。ちゃんとやっている人は、どの世界でも本当にちゃんとやっていて、駄目なやつはどの世界でもいい加減で…。プライド持ってやっている人にとっては、自分のやっているフィールド内で品位を落としたり安直な方向に持って行く者に対して、「あの人と同じに見られたくはない」とか「自分はきちんとやっているのに一緒にしないで」とか、憤りを感じると思います。「糞もミソもいっしょくた」にされてしまうのは辛いということですね。
たとえば、某バニーパブで因幡が働いていたとき、「なんでそんな格好しているの?」と聞くお客に対し「バニー衣装が好きだからやっている」と答えていたんだけど、私がそう答えることで、お金のためや夢のため、その他色々な事情で頑張っているだけでバニー衣装は興味なかった他の娘まで「君も、それが着たくてやっているの?」とか聞かれて、かえって迷惑かけちゃっていたかも知れないです(仕事でやっていて衣装に興味のない娘にとっては、衣装マニアのコスプレ女と誤解されるのは侮辱と感じるはずなので…)。
 水商売をする目的は色々で、借金苦で死に物狂いで働いている人から見れば、遊ぶ金ほしさに適当にバイトしている女子大生とかは目障りだろうし、お酒が好きで愉しく飲んで働ければいいみたいな安直なバイトちゃんから見れば、悲壮感漂ってトップ張っている人は煙たいだけの存在かも知れない…。立場が違うから、どうしたって、同じ「水商売をやったことのある人」「水商売をやろうとした人」の間でも、意見や感覚の違いは出てしまう。「水商売でバニーは失敗例」という因幡見解が、「ざけんぢゃねーよ、このお気楽素人女が!」と見えてしまうなら、それはそれで仕方ない(誰が悪いのでもなく、立場が違うと相手を受け入れづらい)としかいえないのです。
 ちなみに、因幡が最初に入ったお店では、入店時に「衣装を特注するとこっちも経費がかかるから、半年は働くと約束してくれ…」と言われました。もちろん、言われたことは従うつもりでしたが、自分に合わせてわざわざ作っていただく以上、お店に制服代の負担をかけるのも申し訳ないし、当然、こちらの気持ちとしては自分の体型に合わせた憧れのマイバニー衣装は入手したかったので、はじめから買「では、その衣装は、私が買い取りますので」という話にしました。そして、約束の半年もだいぶ過ぎ、衣装代金もとうに払いきった後で、これまた規定通り1か月前に「1ヶ月後に辞めたい」という意向を切り出したところ、店長に筋の通らない因縁をつけられました。結局、残りの給料もバニー衣装ももらえないまま「2度と来るな」と追い出され、更衣室においてあった(私が買い取ったはずの)衣装を取りに戻ることも許されませんでした。
 その店は、他にも辞めようとする娘を素直に辞めさせないとか、最後の給料を払わないというトラブルも何回か見ているので、特殊な例だとは思いますが、そういうことがあるからこそ、衣装欲しさに安易に水商売のバニーなんてしないほうがいいというのが、因幡の本当に言いたかったことです。

P.S.
 給料未払いの件ですが、当然、全ての店がそういうところばかりではありません。ある店では、途中でこちらの都合がつかなくなって継続して働くことが難しくなったとき、先方から連絡してきて「前回分のお給料が残っているから取りにきて」と連絡がありました。また、店の都合で閉店してしまうときに「しばらく休業になるので、お給料は系列店に預けておきます、取りに来てください」とわざわざ連絡してくれたところもありました(黙って店を閉めちゃっても分からないのに…)。水商売は、辞めるときに最後の給料を払ってくれないとか、辞めようとするとトラブルになるという噂が根強く流れていますが、私の知る限りでは、誠意を持って一定期間以上働いてきちんと話をすれば、特にトラブルなく円満にやめられることのほうが多いみたいです。