色や柄、材質って選べるの? デザインの指定は可能?

 高いお金を出して注文するからには、できるだけ自分の希望を叶えたい、好きな色や柄にしたいのは勿論のこと、できれば好きな材質(エナメルとか、木綿とか、サテンとか、チャイナドレスの生地とか…)で作って貰えたらと思うのは、当然の心理でしょう。
 しかし、結論から申しますと、色はともかく、現状のバニー衣装小売り業者では、材質は選べないと思っておいたほうが無難です。もし、「どんな生地でも作れますよ!」とか安請け合いする業者があったとしたら、そちらのほうが危険です。なぜなら、たとえば伸縮する生地と伸縮しない生地では、縫製や型紙が、全く異なってくるからですね。
 生地は、材質によって、伸縮の特性、生地の厚み、適した縫い方や縫い糸…色々な要素が複雑にからんてきます。体形に密着しない普通の衣装ならまだしも、体の線に沿って肩ひもなしで自立させなければいけないバニー衣装。それを無視して、どの生地でも出来ると安易に言えてしまうのは、大抵の場合、その業者がバニー衣装の恐ろしさ(?)を認識していないからです(どんな材質にも対応できる物凄い技術力を持っているので、胸を張って答えている場合もあるかも知れないけど…(^^;))。本当にバニー衣装の構造を熟知していればいるほど、安易に素材変更とかデザインの無茶は受け入れなくなってくるものなんです☆

 さて、前置きが長くなりましたが、では、どの店でどのくらいの自由度があるかについて、私の知っている例で、ご説明します。(あくまでもこれは、私や関係者が体験した内容に基づいての記述です。情報が古い部分もあるかと思いますので、もし、ここに書かれていることと違う体験をされた方がいましたら、是非、MAILをいただければ幸いです)

☆チャコット

 ここは、スーパーストレッチというワンウェイの素材(片方向にだけ伸びる生地)を用いて、衣装に対して縦に伸びるように使っています。横方向にはほとんど伸びないため、たとえば少し小さめの衣装をファスナーでしめあげて着れば、体形を引き締めるという副次効果(?)が出たものです。
 ここでは生地の自由度は「見本として展示してある素材であれば、受け付けられる」と聞きました。バニー用標準生地の「スーパーストレッチ」には色見本帳があって、ある程度の色違いは完備されていますし、それ以外の展示されていたツーウェイ(両方向に伸びる、いわゆる水着やレオタードの生地のようなもの)でも作れるとの話でしたが、ツーウェイの柄物ってほとんどありません。
 古い話になりますが、その頃、マネキンが見本として着用していたものは、試作品のような赤のベロア調の品でして、よーこちゃんの初代バニー衣装は、「それと同じイメージで…」と注文されました。しかし、この生地は非伸縮素材です。今考えると先方も冒険だったのでしょうが、あの頃の私たちには今のような服飾知識はありませんから、単純に「この生地で作れるんなら、これがいい」みたいな気持ちでした。結果としては、サイズが合わない現象になってしまいましたが、因幡の持っているもの、あるいは標準品として売っているものとは、生地の材質は勿論のこと、デザインまで異なっていたのですから、今までの品と同じように作りあげてくれと要求するほうが無謀だったとも言えます。
 というよりは、安易に採寸によるサイズ変更を受けたり、材質の違う非伸縮素材の注文を受けたりせずに、「出来ないものは出来ない」と断るか、あるいは、「今までのものと違うできあがりになってしまいますよ」と事前に告知するなど、専門知識のある的確な事前応対が欲しかったと思います(まぁ、先方も試行錯誤だったんでしょうね☆(笑))


☆オカダヤ

 こちらは、はじめから「フルオーダーは出来ません」ということは、きちんとアナウンスしています。でも、型紙の大幅な変更が出ないような小さい注文は、状況によっては受てくれることもあります(サイドのハトメは不要とか)。
 オカダヤでは、「エラスサテン」というワンウェイ生地を、横に伸びる形で使っています。そのため、多少体形の違う娘同士でも、着回しがききます。また、伸縮の方向の特徴から、胸に立体感が出やすいデザインになっています。その代わり、おしりの処理が難しくなっていますが…。
 一時期は、ここでも、「生地館にある素材なら何でも作ります」と言っていましたが(もしかすると、私が顔なじみだからそう言っていただけで、どのお客さまにもそういう応対ではなかったかも)、最近では「非伸縮素材はできあがりが綺麗にならないので、できれば伸縮素材でお願いします」と言われます。私自身は、ツーウェイ素材(ゼブラ柄)でのオーダーはやったことがありますが、非伸縮素材は試したことはありません。高い授業料を払って実験してみたい気もしますが、多分、現在は「出来ない」と断わられてしまうかも知れませんね☆
 客というのは不思議なもので、出来ないと言われると「じゃあ、他の店を当たる」と安易に離れるし、逆に「出来ますよ」と答えてくれるメーカーさんを信用してしまう傾向はありますが、これは、いわば客側の知識不足☆ オーダーとか、そういう微妙な問題に関しては、むしろ、出来ないものは出来ない、何故出来ないかの技術的な説明がある、そういう対応の店を信じたほうが、結果としてうまくいかもしれないと、最近の私は思います。
 ちなみに、伸縮素材であっても、エラスサテンとそれ以外の生地では、伸び方とか厚みが違いますから、標準のものと全く同じ形には仕上がりません。全体に凹凸が強調されて、生地もちょっと余った感じになります。また、1枚で作っていますので、薄い色でツーウェイ素材を指定した場合、スケについては覚悟しましょう。でも、「極端にイメージと違う。詐欺だ!」というほど異なってしまうわけでもありませんので、多少のことに妥協できるなら、まぁ、オカダヤでのイージーオーダーは無難なラインとも言えます☆
 しかしながら、結局、ツーウェイ素材には柄物がほとんどありませんから、色は選べても、柄は選べないというオチがあります。たまたまゼブラ柄があったのでトライしましたが、ぢつは私、水玉バニーをやりたいのです。でも、ツーウェイの水玉ってあまり可愛い柄がないんですよね…(^^;) どうせ、色しか選べないなら、なにもわざわざツーウェイにしなくても、エラスサテンの色違いを選んでいればいいし…といった感じで、ここはちょっとハマりだったりもします。


☆K企画

 はっきりいって、上記の説明のなぞりになってしまいます。基本路線は大差ありません(笑) ただ、K企画の偉いところは、出来ないものは出来ない、出来るものは出来る、のラインがはっきりしていることです。
 まず、フルオーダーはしません。イージーオーダーです。採寸はしません。4サイズのサンプルがあるので、それを試着して、着丈を調整するだけです。デザインも基本的には、修正できません。デザインを変えるということは型紙が変わってしまうからですね☆ あと、伸縮素材のオーダーしか受けません。さて、問題の色柄のほうですが、見本帳には100種類以上の生地があります。しかし、オカダヤの話でも触れた通り、伸縮素材全体として柄物が少ないので、見本の中もほとんどが単色です。柄物は、アニマル系のプリントが主流ですね☆ ただ、ここの場合、柄物というわけではありませんが、材質感の違う伸縮素材が多くあります。ベロア風に見えるツーウェイ、ストライプに折り込んであるツーウェイなど、一風変わった風合いを選ぶことが可能です。
 あと、これは重要ですが、伸縮率がある基準を満たしていれば(といっても、普通のツーウェイ素材は、だいたいその範囲に入るのですが)、持ち込みの布でもオーダーできるというのが、最大の特徴だと思います。

 こうやって、3業者を比較してみましたが、まだちょっとピンときてない貴女へ…。こういう例題で考えてみると、違いが分かりやすいと思います。

<アーミー柄のバニー服が欲しい>

 貴女がアーミー柄のバニー衣装を欲しいと思いました。で、最初にチャコットに行きました。チャコットの見本の中には、アーミー柄はありませんでした。
 そこで、オカダヤに行きました。オカダヤでは、うちにある生地ならどれでも作れるが、出来れば非伸縮素材はオススメしないと言われました。そこで、生地館で見てみると、アーミー柄はありましたが、木綿の生地でした。
 普通の人でしたら、ここで、2つの選択をします。どうしてもアーミー柄にしたいので、デザインが崩れることを承知でアーミー柄にするか、あるいは、諦めて普通の生地にするか…。
 しかし、こだわり派の(諦めの悪い?)貴女は、本当にアーミー柄の伸縮生地はないものか、探す旅を続けました。そうしたら、なんと! ユザワヤで伸縮アーミーを見つけたのです☆ でも、ユザワヤの生地では、チャコットにもオカダヤにも持ち込めません。

 …こんなとき、K企画が、ありがたく(?)思えてきます(笑)

 まぁ、ちょっと出来すぎの例という風に感じられるかも知れませんけど、実際、私や関係者が、こういうことで悩み、困った末に見つけたのがK企画だったということですね☆

 でも、何度も書いているように、結局、どのメーカーでも生地の制限はかなりありまして、あれこれ自由にというわけにはいかないのが現状のようです。特に、「エナメル」「レザー」「ボア」などは特殊素材ですから、業種探しは難航していました。
 …が、おかげ様で、エナメルについては、バニー衣装を制作できるエナメルや皮革などの専門工房「G-UNIT」をみつけ、仕上がりも上々です☆ 詳しい内容については、「槙絵のエナメルバニー体験記」でレポートされていますので、興味のある方は、同人誌のほうも是非よろしく〜!


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